sportsnabi-ジャンパー膝のテーピング・巻き方

ジャンパー膝のテーピング講座。テーピング方法・巻き方の手順のまとめ。

◆ジャンパー膝のテーピング・巻き方【目次】

◆膝の膝蓋靱帯に発症する炎症をもたらす障害

★1.ジャンパー膝とは?
★2.日本では15歳・16歳以降に発症率が徐々に高くなる
★3.社会人になりスポーツ競技へ復帰する場合の注意点

◆ジャンパー膝とは?

ジャンパー膝の図

 ジャンパー膝とは、膝の膝蓋靱帯に発症する炎症をもたらす膝関節の障害である。(膝蓋靭帯炎も同意)
 膝蓋靱帯は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)をつなぎ膝関節の運動や可動範囲の制限を行う重要な靭帯組織。
 可動域の制限と膝関節の保護システムとして機能している組織には同様に膝蓋骨がある。
 膝蓋骨は膝蓋靱帯(膝蓋腱とも呼ばれる)を経由する遊離した骨組織。
 一般的には「膝の皿」としても知られる。
 名前からもわかるとおり、この膝の病気は、ジャンプ動作を行うスポーツアスリートに多く症状を発症する傾向を持つオーバーユース系の障害である。
※オーバーユース症候群=使い過ぎ症候群

◆日本では15歳・16歳以降に発症率が徐々に高くなる

 ジャンパー膝のジャンパーとは直訳すると「飛ぶ人」という意味である。
 では何故ジャンパーに多くこの病気が発症するのだろうか?
 これは膝関節の仕組みと関節、靱帯組織の働きや役割を確認することで容易に理解することができる。
 最たる原因としてはジャンプ動作を必要とするスポーツ競技の多くが繰り返しの動作を必要とするものが多い点にある。
 最も代表的なスポーツ競技を上げるとするならばネットを挟むバレーボールやバドミントンなどの競技。
 ポジションや選手の特徴、スタイルにもよるだろうが実際にゲーム間に行われるジャンプ動作の数は優に100回を超えてくるケースが大半である。
 またジャンパー膝はオスグッドなどの成長期に多い膝の病気と比較すると成長期を終えたあたりの15歳以降あたりから発症率が徐々に高くなってくるという傾向を持つ。
 10代の子供がジャンパー膝を発症するケースの大半は部活動などによる体育以外の運動による影響が大きい。
 成長期が徐々に終焉を迎えるこの時期は筋力は顕著に高くなってくるものの人体の構造的にはまだまだ未発達な部分が多い。
 これはもちろん靭帯組織も同様でジャンプ動作のような比較的強い筋出力が求められる強い負荷には耐えられない部分もある為だ。

◆社会人になりスポーツ競技へ復帰する場合の注意点

 10代に対して成人以降にジャンパー膝などによる膝蓋靱帯に炎症を起こす要因には柔軟性の低下という成長期の10代の子供とはまた異なった原因の関連性も出てくる。
 久しぶりに運動を開始したケースや、減量を目的としてジョギングを開始して数週間程度たった段階でジャンパー膝の炎症を発症するケースも多い。
 成人以降に現役時代に行なっていたスポーツ競技などに復帰を果たす場合は、まずは体力を!と気負いがちであるが、怪我や炎症性疾患の可能性を考慮し体力をつけていく以上に柔軟性の強化を目的とした本格的なストレッチングから取り組むべきと言えるだろう。

◆ジャンパー膝のテーピングの手順表

★1.下腿のふくらはぎ下部から太もも中央部にかけてアンダーラップを巻いておく
★2.ジャンパー膝のテーピングの手順表@〜C
★3.ジャンパー膝のテーピングを行う際の2つのポイント
★4.合併症・転倒など2次的な怪我への予防も考慮して判断

◆下腿のふくらはぎ下部から太もも中央部にかけてアンダーラップを巻いておく

 ジャンパー膝のテーピングの巻き型の手順を以下にまとめておく。
 ジャンパー膝に施術されるテーピングには一般的なテーピング。
 そして筋肉に沿って貼りダメージを受けている筋肉や関節の補助的な役割をするキネシオテーピング。
 更に、自然治癒力を最大限に高めるとされているスパイラルテープと主に3つのテーピング施術法が存在する。
 ここでは主流となるホワイトテープを使用したジャンパー膝のテーピングの手順について以下にまとめる。
 尚、テーピング開始前に下腿のふくらはぎ下部から太もも中央部にかけてアンダーラップを巻いておくと毛によるずれがなく固定が安定する。

※男性がジャンパー膝のテーピングを行う場合は、事前に下腿のふくらはぎ下部から太もも中央部にかけてアンダーラップを巻いておくと固定力が高まる

◆ジャンパー膝のテーピングの手順表@〜C

ジャンパー膝のテーピングの巻き方・手順
@アンカー
大腿部(太もも)中央部分。下腿中央部分にエラスティックテープを使用してアンカーを貼る。
Aサポートテープ
下腿外側から大腿部内側へ向けてスパイラル状に巻きあげていく。これは伸展動作の制限が目的。
B伸展制限テープ
大腿部から下腿へまっすぐに膝をまたいでテーピング。テープから2.5mm外側にに同様のサポートテープを繰り返し重ねて貼っていく。この際膝を軽く曲げた状態をキープする。
Cアンカー
再度アンカーテープを貼りサポートテープの両端のばらつきを止める。

 以上がジャンパー膝のテーピング手順の流れである。

◆ジャンパー膝のテーピングを行う際の2つのポイント

 ジャンパー膝のテーピングでは伸展の制限を加えることが基本。
 伸展とは膝関節の場合は曲げている膝を伸ばす動作を示す。
 運動が可能な範囲のテーピングとなる為、過度に強く巻きつける必要はない。

※ジャンパー膝のテーピングでは膝の伸展動作に制限がかかる事がポイント

 尚、選手はテーピングのサポートによりある程度運動をこなすことができるようになる。
 これは実際に炎症を発症している膝蓋靱帯に加わる牽引作用が緩和されるため。
 しかし、炎症を発症している状態における競技への参加は炎症の促進につながることを選手には必ず把握させておく事が重要。
 実践競技中に痛みを強く感じ始めた時は選手自身からサインを出させるようにトレーナーはしっかりと理解させなければいけない。

※テーピングは痛みの緩和効果はあるが過信してはいけない!また過信させない!

◆合併症・転倒など2次的な怪我への予防も考慮して判断

 応急処置としてテーピングを実践した場合は競技中の選手の観察も重要である。
 トレーナーや指導者が観察する際のポイントは、
◇運動量の低下
◇足を引きずる動作
 の2点が重要な観察ポイントである。
 上記2点の症状が確認された場合は、運動の中止の決断をトレーナー、監督が決断しなければいけない。
 これは合併症、転倒などの2次的な怪我への予防も考慮しての判断となる。
 更に続行を検討する際も、次の大会までのスパン(十分休養がとれるのか否か?)も考慮し選手が納得のいく説明ができることも大切な役目と言えるだろう。

※炎症時のテーピングは応急処置であり根本的には安静が必須。また炎症が拡大する可能性も高い。この点を理解させた上で競技に参加させることで選手自身の怪我に対する意識、集中力、止め時の判断力が向上する。

◆伸展動作を行う際に膝蓋靱帯は必ず脛骨を引っ張り上げる動作を行う

★1.膝の伸展作用のメカニズム
★2.ジャンプをする際の動作を思い浮かべてほしい

◆膝の伸展作用のメカニズム

 ジャンパー膝を発症するメカニズムを覚えるために膝蓋靱帯の主な働きをここで一度確認しておこう。(膝関節・膝蓋靱帯の図はこちら)
 膝の膝蓋靱帯のまず一つ目の重要な働きとしては、「脛の骨」を持ち上げる動作が挙げられる。
 「持ち上げる」というと表現に関しては少しわかりにくい部分があるかもしれない。
 そこで掴みやすいイメージとして、椅子に腰をかけた状態で足をまっすぐ伸ばす動作をイメージしてみて欲しい。
 簡潔に言えば膝を単純に伸ばす動作ということになるが、この際に下腿は脛に付着している膝蓋靱帯が太もも方向へ引っ張られることによって脛が持ち上げられる構造となている。
 筋肉単位で見ていくと大腿四頭筋が収縮する際に膝関節を支点として膝蓋靱帯を通じ脛の骨が持ち上げられていることになる。

◆ジャンプをする際の動作を思い浮かべてほしい

 では次は同様にジャンプをする際の動作を思い浮かべてほしい。
 あなたはジャンプ動作を行う際にどのような動きをしてジャンプ動作を行なっているだろうか?
 椅子に座っている状態ではないが、一度かがみこんだ状態(膝を曲げている状態)から膝を伸ばした状態へ移行しているはずである。
 この動きを伸展と言うが、この伸展動作を行う際に膝蓋靱帯は必ず脛骨を引っ張り上げる動作を行っている。
 脛の骨である脛骨の前面に膝蓋靱帯は付着していることから、ジャンプ動作を頻繁に繰り返すスポーツ競技を実践している場合、この付着部位へは繰り返し引っ張る作用が働きかけることになる。

 この牽引作業の繰り返しが、患部の負担となり炎症を発症するのがジャンパー膝の仕組みなのである。
 この仕組みがわかれば、膝の下側の脛の付着部位近辺に痛みを伴っている場合、ジャンパー膝の可能性を検討することができるようになるわけだ。

◆バレーボール・バスケットボールアスリートに特に発症事例が多い

★1.ジャンパー膝を発症しやすいスポーツ競技一覧
★2.ジャンパー膝も反張膝も膝蓋靱帯に関わる疾患

◆ジャンパー膝を発症しやすいスポーツ競技一覧

 ジャンパー膝を発症しやすいスポーツ競技についてここでは確認しておこう。
 この膝の病気はスポーツ選手だけに発症する病気という訳ではない。
 しかし名前からも解る通り、多くの場合ジャンプ動作を伴う動きが求められるスポーツ競技を実践している人に発症する。
 ジャンパー膝を特に発症しやすい競技は以下のようなスポーツ競技が代表にあげられる。

ジャンパー膝を発症しやすいスポーツ競技一覧
@バレーボール
Aバスケットボール
Bハンドボール
Cバドミントン
D陸上(跳躍系)
Eソフトバレー

 中でも注視したい特徴・及び傾向としてはバレーボール、バスケットボールアスリートに特に発症事例が多い点。
 繰り返しジャンプ動作を強いられる競技の特徴とも言える。

◆ジャンパー膝も反張膝も膝蓋靱帯に関わる疾患

 ジャンパー膝は、膝の膝蓋靱帯に繰り返し負荷が加わることで症状を発症する。
 尚、この症状と似たような症状を示す膝の疾患として「反張膝」と呼ばれる膝の病気があることも覚えておこう。
 反張膝は、膝が反り返ることで膝蓋靱帯が緩んでしまうことによって炎症を発症し痛みを生む膝の疾患。
 膝蓋靭帯炎の一種であるが特に女性に発症事例が多い事が特徴である。
 ジャンパー膝も反張膝も膝蓋靱帯に関わる疾患であり、ともに「伸展動作」が影響をもたらす点で非常に性質が似ている疾患とも言える。
 とは言え同じ膝蓋靱帯の炎症を伴う疾患であったとしても、症状の発症原因から治療法などはジャンパー膝と反張膝では全く異なってくる。
 その為、診断や治療を開始する場合は2つの障害のうちどちらにあたるのかについても見極めることが重要となる。
 尚、ジャンパー膝はスポーツアスリートに多く発症するが、私生活の範囲で発症することはまれな疾患。
 しかし、反張膝は先天性(遺伝性)のケースと、長時間、膝を伸ばした状態で立っていることが継続的に行われた場合に靱帯に影響をもたらす後天性のケースがある。
 この発症原因が見極めのポイントとなるが、発症時はともに膝の伸展動作の際に痛みを伴うため判別しにくいという性質をもつ点を把握しておこう。